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防犯意識は設備の有無だけでは測れない――住宅統計から考える「安心」のつくられ方

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防犯を考える単位は、犯罪件数だけではない

防犯について語るとき、私たちは犯罪の発生件数や検挙率に目を向けがちです。しかし、日々の暮らしの中で感じる安全は、犯罪統計だけで決まるものではありません。住まいにどのような設備があるか、建物がどのように管理されているか、住民がどの程度安心できると感じているかも、防犯意識を形づくる要素です。

国土交通省の住生活総合調査には、住宅の防犯性に対する評価や、共同住宅のオートロックの有無に関する項目があります。2016年調査では、住宅の防犯性に関する集計の総計は52298千世帯でした。これは、住宅の安全を考える際、個々の犯罪被害だけでなく、非常に多くの世帯が日常的な住環境を通じて防犯を意識していることを示す基礎的な規模です。

オートロックは「安心」の一部分にすぎない

同じ2016年調査では、共同住宅のうちオートロック式の世帯は3120千世帯、オートロック式ではない世帯は2267千世帯でした。

この数字から読み取れるのは、オートロックの設置状況が一様ではないということです。ただし、オートロックがあることと、住民が十分に安心していることは同じではありません。オートロックは建物への出入りを管理する設備ですが、住戸の窓や玄関、共用部分の照明、訪問者への対応、設備の維持管理など、住まいの安全には複数の接点があります。

住宅の防犯に関する項目数値時期
住宅の防犯性に関する集計の総計52298千世帯2016年調査
共同住宅・オートロック式3120千世帯2016年調査
共同住宅・オートロック式ではない2267千世帯2016年調査

したがって、防犯意識調査の結果を読む際には、「設備があるか、ないか」だけで判断しないことが重要です。設備があっても使われていなかったり、故障していたり、管理方法が住民に十分伝わっていなかったりすれば、実際の安心感は変わります。反対に、設備が限られていても、周囲の見通しや管理、住民同士の情報共有によって不安が抑えられる場合もあります。

空き家の管理は、意識を行動に移せるかを映す

防犯意識は、危険を感じるかどうかだけでなく、実際にどのような行動を取っているかにも表れます。国土交通省の空き家所有者実態調査では、200904-201003の調査で、所有者本人または関係者が定期的に見回りや点検をしているという回答は115件でした。

空き家は日常的に人が住んでいないため、設備の異常や周辺環境の変化に気づきにくい住宅です。そのため、見回りや点検の有無は、建物の状態を確認する行為であると同時に、所有者や関係者が防犯上の責任をどのように受け止めているかを考える材料になります。

もっとも、115件という数値だけで、空き家全体の安全性や所有者の意識を判断することはできません。回答の対象や集計方法を確認しなければ、他の住宅や地域との単純な比較もできません。防犯意識の数字は、行動の存在を示す一方で、その数字がどの範囲を代表するのかを見極める必要があります。

「安心している人」と「備えている人」は同じではない

防犯意識を調べるとき、設備の設置、住宅への満足度、見回りなどは、それぞれ異なる側面を表します。オートロックの有無は建物の構造や設備に関する情報であり、住宅の防犯性への評価は住民の受け止め方に近い情報です。空き家の見回りは、所有者や関係者の行動に関する情報です。

この三つを一つの指標にまとめると、かえって実態が見えにくくなります。防犯意識調査を読む読者にとって大切なのは、「安心感」「設備」「管理行動」を分けて考えることです。安全な住環境をつくるには、設備の数だけでなく、設備が機能しているか、管理されているか、住む人がその役割を理解しているかを確かめる必要があります。

住宅の防犯性は、犯罪統計から直接見えるものではありません。日常の住まいにある設備と、それを支える管理の仕組み、そして住民や所有者が取る行動。その重なりを読み解くことで、防犯意識をより具体的に捉えられます。

出典

https://www.e-stat.go.jp/dbview?sid=0003149922

https://www.e-stat.go.jp/dbview?sid=0003158949