治安と安全を5つの指標で見る
殺人発生率、交通事故死亡率、自殺死亡率、軍事支出(対GDP比)、汚職の抑制の5指標を1枚ずつ切り替えて表示します。いずれもWorld Bankの世界開発指標(WDI)から取得し、各指標の最新年の値で国・地域を並べ、日本の値と順位を重ねています。棒グラフの横には日本の推移も添えています。
| 殺人発生率 | 6 | 殺人発生率 日本0.2292件/10万人 — 196の国・地域中6位(2023年) |
| 交通事故死亡率 | 14 | 交通事故死亡率 日本3.6人/10万人 — 190の国・地域中14位(2019年) |
| 自殺死亡率 | 169 | 自殺死亡率 日本17.43人/10万人 — 185の国・地域中169位(2021年) |
| 軍事支出(対GDP比) | 67 | 軍事支出(対GDP比) 日本1.3714% — 164の国・地域中67位(2024年) |
| 汚職の抑制(統治指標) | 24 | 汚職の抑制 日本75.32点 — 206の国・地域中24位(2024年) |
各コマは値の低い順(汚職の抑制はスコアの高い順)に並び、日本の位置を色で示します。指標ごとに単位も対象国数も最新年も異なるため、コマをまたいで順位や値をそのまま比べることはできません。
要点
治安と安全に関する5つの指標を並べると、日本の位置は一方向にそろっていない。柱となる殺人発生率は0.2292件/10万人(2023年)で、196の国・地域中6位と世界でも最も低い部類にある。交通事故死亡率も3.6人/10万人(2019年)で190の国・地域中14位と同じ方向を向いており、他者による暴力や事故で命を落とすリスクは小さい。一方で自殺死亡率は17.43人/10万人(2021年)で185の国・地域中169位と、逆向きの位置にある。あわせて、軍事支出(対GDP比)は1.3714%(2024年)へ上昇し、汚職の抑制スコアは75.32点(2024年、206の国・地域中24位)と緩やかに低下している。
出典: World Bank, World Development Indicators(VC.IHR.PSRC.P5 / SH.STA.TRAF.P5 / SH.STA.SUIC.P5 / MS.MIL.XPND.GD.ZS / GOV_WGI_CC_SC)
中心指標の最新値
先頭の指標である殺人発生率について、日本の最新値は0.2292件/10万人(2023年)で、196の国・地域中6位である。同じデータの世界値は5.2件/10万人なので、日本の水準はおよそ23分の1にあたる。対象年は2023年で、出典はWorld Bank, World Development Indicatorsの「Intentional homicides (per 100,000 people)」(VC.IHR.PSRC.P5)である。順位は値が低いほど上位という並びで、日本は上位側の端に近い位置にある。
出典: World Bank, World Development Indicators(VC.IHR.PSRC.P5)https://data.worldbank.org/indicator/VC.IHR.PSRC.P5
上位と下位の顔ぶれ
殺人発生率の上位はCHI(0.0、コードのままで国名は確定できない)、カタール0.0691、シンガポール0.0691、オマーン0.1386、バーレーン0.1956と続き、その次が日本0.2292である。湾岸の産油国と、東アジアや小規模な都市国家が並ぶ傾向が読み取れる。下位はタークス・カイコス諸島76.34、セントクリストファー・ネーヴィス64.16、セントビンセント及びグレナディーン諸島51.32、ジャマイカ49.44、南アフリカ43.72で、カリブ海の島嶼と中南米、アフリカ南部に偏っている。日本は明確に上位側に位置する。ただし人口の小さい国・地域は件数のわずかな変動が率に大きく反映されるため、年による振れが大きい点には注意がいる。
出典: World Bank, World Development Indicators(VC.IHR.PSRC.P5)
この10年でどう変わったか
日本の推移を指標ごとに見ると、方向は一致していない。殺人発生率は2012年の0.3353から2023年の0.2292へ、約32%下がった。交通事故死亡率も2008年の5.5から2019年の3.6へ約35%低下し、途中で大きな反転のない一貫した下がり方である。これに対し自殺死亡率は2010年の24.31から2019年の16.47まで下がったあと、2020年17.16、2021年17.43と2年続けて上昇しており、方向が変わった点がこの10年でもっとも目立つ。軍事支出(対GDP比)は2013年0.9405%、2022年1.0099%、2024年1.3714%と推移し、直近2年の上げ幅0.36ポイントがそれ以前の10年分の変化より大きい。汚職の抑制は2014年の79.01を高値に2024年は75.32で、約3.7ポイントの緩やかな低下である。
出典: World Bank, World Development Indicators(VC.IHR.PSRC.P5 / SH.STA.TRAF.P5 / SH.STA.SUIC.P5 / MS.MIL.XPND.GD.ZS / GOV_WGI_CC_SC)
近い国とくらべる
主要7か国で並べると差の大きさが見えてくる。殺人発生率(2023年)は日本0.2292に対し、アメリカ5.7634(134位)は約25倍、フランス1.3351、英国1.1187、ドイツ0.9107、中国0.5019、韓国0.4773で、日本はこの中で最も低い。交通事故死亡率(2019年)は日本3.6に対し、英国3.2(13位)だけが日本より低く、ドイツ3.8、フランス5.1、韓国8.6、アメリカ12.7、中国17.4と続く。自殺死亡率(2021年)では位置が入れ替わり、日本17.43は韓国27.53(184位)に次いで高く、アメリカ15.63、ドイツ12.9、英国9.55、中国8.95を上回る。軍事支出(対GDP比、2024年)は日本1.3714%が7か国で最も低く、アメリカ3.4192%、韓国2.5621%、英国2.2786%、フランス2.0526%、ドイツ1.8919%、中国1.7113%が続く。汚職の抑制(2024年)は日本75.32(24位)で、ドイツ83.75(13位)と英国78.41(20位)を下回り、フランス72.51、アメリカ69.86、韓国65.05、中国49.65を上回る。
出典: World Bank, World Development Indicators(VC.IHR.PSRC.P5 / SH.STA.TRAF.P5 / SH.STA.SUIC.P5 / MS.MIL.XPND.GD.ZS / GOV_WGI_CC_SC)
この数字の読み方
殺人発生率は故意の殺人に限られ、過失致死や戦闘による死亡は含まれない。交通事故死亡率は推計値で、事故後何日以内の死亡を数えるかといった定義が各国の警察統計とずれることがある。自殺死亡率は死因統計の分類と報告体制に強く依存し、報告されにくい国では低く出る可能性がある(上位に並ぶ中東諸国の0点台の値なども、制度の違いが影響している場合が考えられる)。軍事支出は年金や準軍事組織の扱いが国により異なり、順位の1位は対GDP比が最も低いことを示すだけで、治安の良し悪しを表すものではない。汚職の抑制は実測値ではなく、専門家調査や企業調査を集約した0〜100のスコアで、小さな差は誤差の範囲とみるのが妥当であり、このデータには世界値が示されていない。いずれの指標も更新は年1回で公表は1〜数年遅れ、最新年(殺人2023年、交通事故死2019年、自殺2021年、軍事支出・汚職2024年)も対象国数(196・190・185・164・206)も異なるため、順位同士を直接比べたり、同一時点の横断比較として扱ったりすることには限界がある。交通事故死は2019年の値で、その後の変化は含まれていない。
出典: World Bank, World Development Indicators(VC.IHR.PSRC.P5 / SH.STA.TRAF.P5 / SH.STA.SUIC.P5 / MS.MIL.XPND.GD.ZS / GOV_WGI_CC_SC)
殺人発生率を地図とグラフで見る
| 順位 | 国・地域 | 件/10万人 |
|---|---|---|
| 2 | カタール | 0.07 |
| 3 | シンガポール | 0.07 |
| 4 | オマーン | 0.14 |
| 5 | バーレーン | 0.2 |
| 6 | 日本 | 0.23 |
| 7 | クウェート | 0.25 |
| 8 | セネガル | 0.27 |
| 194 | セントビンセント及びグレナディーン諸島 | 51.32 |
| 195 | セントクリストファー・ネーヴィス | 64.16 |
| 196 | タークス・カイコス諸島 | 76.34 |
表の上端はCHI0.0、カタール0.0691、シンガポール0.0691で、日本は6位に入ります。下端はタークス・カイコス諸島76.34やセントクリストファー・ネーヴィス64.16などの島嶼が並びます。
棒の長さの差は上端と下端で300倍以上に開きます。日本の推移は2012年0.3353から2023年0.2292へ下がってきました。
国を選んでくらべる
交通事故死亡率
上端はアンティグア・バーブーダやモナコの0.0、下端はドミニカ共和国64.6やジンバブエ41.2です。日本3.6は上位側で、英国3.2がわずかに下にあります。
日本の推移は2008年5.5から2019年3.6へ一貫して低下しています。主要国ではドイツ3.8が近く、中国17.4やアメリカ12.7とは開きがあります。
自殺死亡率
上端はセントビンセント及びグレナディーン諸島0.41やシリア0.59、下端はレソト28.66や韓国27.53です。日本は下端側の169位にあります。
日本の推移は2010年24.31から2019年16.47まで下がった後、2020年17.16、2021年17.43と2年続けて上向いています。
軍事支出(対GDP比)
上端はハイチ0.0684やモーリシャス0.1496、下端はウクライナ34.4815やエリトリア20.8657です。日本は中位よりやや上に位置します。
日本の推移は2013年0.9405%から2024年1.3714%へ、とくに2022年1.0099%以降の上がり方が大きくなっています。
汚職の抑制(統治指標)
上端はデンマーク94.16やフィンランド92.23、下端は南スーダン6.06やソマリア11.70です。日本75.32はドイツ83.75や英国78.41より下にあります。
日本の推移は2014年79.01を高値に2024年75.32まで約3.7ポイント下がりました。上端と下端の差は88ポイント以上あります。